トランプ氏の大統領選当選から、仮想通貨(暗号資産)市場が盛り上がっているいま。利益の出た暗号資産を円に転換して利確する「円転」の需要が大きく上昇しています。そのときにみなさんが気になっているのが、ここ数年で国内暗号資産取引所を入金する際に追加された規制の一つである「トラベルルール」です。
ボラティリティの高い市場の中でスムーズに海外取引所から国内取引所に暗号資産を送付するために、自分の使っている取引所のトラベルルールについて理解しておきましょう。今回は日本人に人気な取引所のBybitからGMOコインに暗号資産を入金するときのトラベルルールについて、トラベルルールの概要と現状について解説を行います。
本記事は日本の暗号資産交換業者に課されているトラベルルールについて解説したものであり、海外の取引所および金融庁に無登録の暗号資産交換業者の利用を推奨するものではありません。
トラベルルールとは
悩む人誰がどのような理由でトラベルルールを始めたんですか?
ブロックチェーンと暗号資産の普及や進歩が日々進む中で、規制が追いついてなかった背景から近年このような正しい規制の流れが加速しています。その中でもFATFはマネーローンダリング防止対策(AML)およびテロ資金供与防止対策(CFT)の観点から国際基準を提言する立場として規制の面で、近年力を強めています。その中の一つで、暗号資産の追跡をより効率的に、より正確に行うためにトラベルルールが作成されました。
トラベルルールとは、FATF(金融活動作業部会)が提言しているマネーロンダリングやテロ資金などの不正なお金の流れを防ぐために作られた国際的なルールの一つです。これまでは電子的なお金の移動を伴う電信送金(特に為替取引)に対して適応されていましたが、近年の暗号資産の急激な普及により暗号資産の移転にも適応すべきとの意見から、暗号資産を扱う事業者向けにも同ルールが適応されるようになりました。
「travel」と聞くと旅行をイメージしますが、英語での価値や資産の「移転」や「移動」の意味から来ています。



じゃあ海外への仮想通貨の送金は、為替と同等に規制されるってこと?
いいえ、違います。トラベルルールは決して仮想通貨(暗号資産)の送金を為替レベルに規制しようとしているものではありません。詐欺を始めとする犯罪資金の出口、要するに換金して出金するときの手段ととして利用されるのが法定通貨との取引が可能な「取引所」なので、取引所経由での犯罪資金の出金を未然に防ぐ目的や、不正な資金の行方をきちんと辿れるようにしようというFATFの策の一つです。
なのできちんとしたルールに則って利用する分には問題なく、出金や入金が急に停止したり禁止されることは現時点ではなさそうですしかし、利用者目線ではルールの変更によって現状より負担は大きくなります。
BybitからGMOコインには送金可能なのか
結論からいうと、BybitからGMOコインに送金することは異なるトラベルルールの規格を利用していることから「直接」送金することができない可能性があります。一方で海外取引所からの送金は、厳格な送金元のチェックが行われておらず、入金できたという報告例もいくつかありますが、現状の規則上は直接の送金が拒否される可能性が十分あります。
なぜ「直接」と説明したかというと、直接送付せずにある方法を使うことで、トラベルルールを回避することが可能です。
トラベルルールの制約と目的を理解しよう
今回のトラベルルールは追跡の難しい、取引所から取引所への送金のラベリング(ラベル付をして識別を行うこと)が主な目的です。海外や日本の取引所から「自身で管理」しているMetaMaskやその他のセルフカストディ型のウォレットへの送金は、トラベルルールが一切適応されません。一方で他人へ送金する際は、法人、個人問わず、送金前に受取人名の登録をアドレスに対して行う必要があります。
よって、一度自分の管理するMetaMaskやその他のセルフカストディ型のウォレットに資金を送付することで、間接的にBybitからGMOコインに送金することが可能になります。
またBybitの場合は少し特殊な事情により、トラベルルールの制約を受けない可能性があります。トラベルルールの規制対象になるのは、通知対象国という特定の地域に法人が位置する暗号資産事業者が対象となります。



通知対象国にはどんな国があるの?
アメリカ合衆国、 アラブ⾸⻑国連邦、アルバニア、イスラエル、インド、インドネシア、英国、エストニア、カナダ、 ケイマン諸島、 ジブラルタル、 シンガポール、スイス、 セルビア、 大韓民国、 ドイツ、 ナイジェリア、バーレーン、バハマ、 バミューダ諸島、 フィリピン、 ベネズエラ、ポルトガル、 香港、マレーシア、 モーリシャス、 リヒテンシュタイン、 ルクセンブルク
ここで重要なのは、ドバイはどこの国に位置する法人なのかという点。Bybitの設立はシンガポールで行われましたが、2023年にシンガポールからアラブ首長国連邦のドバイに拠点を移したとされています。加えて、ドバイ以外でも複数の地域で暗号資産事業者としてのライセンスを取得していることから、日本にサービスを運営している法人もしくはライセンスの母体の所在はかなり曖昧な状況です。最新版の金融庁の無登録業業者のリスト(リンク)での説明では、Bybitはシンガポールに位置すると記載れており、国内の取引所でも対応が別れているのが現状です。
トラベルルールを回避する方法
これまでに説明した理由から、安全にBybitからGMOコインkに資金を移動するために、セルフカストディ型のウォレットを介して入金する方法を、イーサリアムの入出金を例に見てみましょう。
まずBybitから自身の管理するセルフカストディ型のウォレットに、イーサリアムを出金します。このとき海外の暗号資産取引所なので、特にトラベルルールは適応されません。
次に自身の管理するセルフカストディ型のウォレットからイーサリアムを、GMOコインの自身の受取用アドレスに送付します。このときは国内の暗号資産取引所への入金なので、トラベルルールが適応されます。送信人が自分の場合は、自身の情報を入力または、サービス内で「本人」などを選択することで、問題なく入金処理のための審査が開始されます。
本内容は、BybitからGMOコインへの執筆時点での入金方法を調査し、解説したものであり、読了時に内容を保証するものではありません。
トラベルルールが存在する意義
ここまでトラベルルールについてと、トラベルルールによる制約などを見てきました。一見するとただ単にめんどくさい作業が増えただけのように見えますが、果たしてトラベルルールはどのような意味をなしているのでしょうか?
ブロックチェーンの技術や暗号資産の登場は世の中に大きな正のインパクトを与えており、特に金融業界では革新的なブレイクスルーを今後も起こす可能性を秘めています。それと同時に負のインパクトがあったことも忘れるべきではないです。
通常の詐欺であれば資金の受け取りに本人確認が厳格化している銀行口座を利用したり、実際に現金の受け渡しを行う必要があるため比較的足が付きやすかったものが、暗号資産を介して誰でもがウォレットを作れる状態でそれらが行われる昨今、そのウォレットが現実世界の誰のものかを特定することは非常に困難になったということです。そのため多くの詐欺やハッキングの被害が発生し、暗号資産を介したマネーロンダリングが行われているのが現状です。
さいごに
トラベルルールの普及は、便利な暗号資産を社会により正しい形で実装するために必要なステップといえますね。今後もしかしたら、トラベルルールが緩和されるかもしれませんし、より厳しいものになるかもしれません。しかし裏を返すとブロックチェーン技術がどれだけ社会に浸透してきている証拠とも言えるので、我々のできることは、正しく技術を理解し利用すること。そして健全な業界の発展を願うことです。
これからも正しく規制を理解するために、仮想通貨ナビではトラベルルール関連の情報発信を継続的に行うので、みなさんも定期的にキャッチアップをしてみてください。









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